宅地建物取引士を受験した話(後半)

宅地建物取引士を受験した話(前半)はこちらです。

ちょうどその頃、住宅リフォームの職業訓練にも通っていたから、 

平日は訓練、帰ってきたら宅建の勉強、 

週末は母の病院と実家。

今思えば、よくあのスケジュールをこなしていたなと思う。

当時は必死で、 

「大変だ」と感じる余裕すらなかったけれど、 

振り返ると、あの時期は本当にいろんなことが重なっていた。

そんなバタバタした日々の中でも、なんとか勉強を続けて、 

ついに宅建の試験日がやってきた。

正直、手応えなんてなかった。 

母の病院、職業訓練、勉強… 

全部を同時に抱えていたから、 

「受かればラッキー」くらいの気持ちだった。

ところが。

試験が始まって問題をめくった瞬間、 思わず心の中で「えっ」と声が出た。

問50に「真壁と大壁」の問題が出ている。

これ、ちょうど職業訓練で教えてもらったばかりの内容だったんだよね。 

住宅リフォームの授業の中で、 

和風建物は柱を見せる真壁、洋風建物は柱を隠す大壁が使われることが多い」 

と先生が丁寧に説明してくれたあの部分。

宅建のテキストには無かったように思う。 

訓練では実際の図面を見ながら学んだので、 頭にしっかり残っていた。

そして、

家に帰ってフォーサイトの解答速報で自己採点をすると「36点」だった。

試験が終わったあと、いろんな通信教育や予備校が 

今年の合格予想はこれだ」 

と点数を出すんだけど、 

僕が受けた年はこれが本当にバラバラだった。

35点予想のところもあれば、38点予想のところもある。

3点も幅があると、もう何を信じていいのか分からない。

「35ならいけるかもしれない」 

「38なら絶対無理だ…」

そんな気持ちが行ったり来たりして、 

発表までの1ヶ月は落ち着かなかった。

この年の合格発表は11月22日。 

午前0時になるとネットで合格点が公開される。

その瞬間を待ちながら、 

「どうだろうな…」と半分あきらめ気味でページを更新した。

36点

画面を見た瞬間、思わず声が出た。 

「おー、36点じゃないか!」 

ギリギリだけど、合格は合格。 

あの真壁と大壁の1問が効いたんだと思うと胸が熱くなった。

でも、その喜びは長く続かなかった。

明け方、義理の姉から電話があった。 

母が亡くなったという知らせだった。

合格の興奮と、母の死の知らせ。 

まったく正反対の出来事が、同じ日の中で起きた。

どう受け止めていいのか分からず、 

ただ静かに時間が流れていくのを感じていた。

宅建の勉強をしていた間、 

週末は実家に帰って母のそばで勉強していた。 

病院にも通っていた。 

あの時間は、今思えばとても大切な時間だった。

合格の知らせを聞くことはできなかったけれど、 

母がいたからこそ頑張れた部分もあったと思う。

人生には、 

嬉しいことと悲しいことが同時にやってくる瞬間がある。 

あの日はまさにそんな日だった。

でも、あの経験があったからこそ、 

資格を取ることの意味や、 

学び続けることの価値を、 

より深く感じるようになった気がする。

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