測量士補に挑戦したときの話

退職前、どんな資格を取るかを考えていた時期があった。 

そのとき迷っていたのが宅地建物取引士と土地家屋調査士のどちらに進むかという選択だった。

土地家屋調査士は、不動産の表題登記を扱う“独占業務”がある専門資格。 

もし将来そちらを目指すなら、測量士補を取っておくと午前試験が免除になるというメリットがある。

測量士補は5月に試験があり、結果発表は7月。 

土地家屋調査士の申込は7月末。

つまり、

  • 5月:測量士補受験
  • 7月:結果発表
  • 7月末:土地家屋調査士の申込締切

というタイトなスケジュール。

もし測量士補が不合格だった場合、 

土地家屋調査士の午前免除が使えず、計画が一気に崩れる

このリスクがずっと頭にあった。

土地家屋調査士は魅力的だったけれど、 

スケジュールの厳しさとリスクを考えると、 

当時の自分には現実的ではないと判断した。

そこで、 

宅地建物取引士を受験する道を選んだ。

宅建士も独占業務があり、不動産業界では必須の資格。 

キャリアの選択肢としても十分価値がある。

県立高校の用務員を退職するかどうかを考えていた令和5年の年末。 

ちょうどFP2級の勉強をしていた頃、ふと 測量士補 のことを思い出した。

たしか願書は令和6年1月末までに提出しないと受験できなかったはずだ」 

将来、土地家屋調査士を受験する可能性もゼロではない

そんな気持ちがあって、 

とりあえず願書だけでも出しておこう 

という軽い気持ちで申込をした。

測量士補はオンライン申込がなく、 

県庁まで行って願書をもらい、収入印紙を貼って国土地理院へ郵送するという、 

今の時代には珍しいほどアナログな手続きだったのをよく覚えている。

測量士補の勉強を始めてすぐに気づいたのは、 

この試験の本当の敵は“計算そのもの”だということ。

特に厳しかったのが、 

小数点5桁の掛け算・割り算を筆算でやらされる という現実。

普段の生活でそんな計算を手書きですることなんてないし、 

電卓も使えない。 

最初は「こんなの無理だろう」と思うレベルだった。

  • 0.12345 × 0.67891
  • 12.34567 ÷ 0.89123

こういう計算を、落ち着いて筆算で処理しないといけない。 

慣れるまでに相当な時間がかかった。

さらに追い打ちをかけたのが、 

測量士補はネット上の情報がとにかく少ないということ。

  • FP → 解説動画が大量
  • 簿記 → YouTube講義が豊富
  • 宅建 → 予備校が充実

こういう資格に比べると、測量士補は本当に教材が少ない。

YouTubeで検索しても、 

「これだ!」という解説にほとんど出会えない。

さらに、測量の世界は専門用語が独特

  • 水準測量
  • トラバース
  • 方位角
  • 観測値
  • 標高改算
  • 偏心補正

聞いたこともない言葉が次々に出てきて、 

最初は何を言っているのかすら分からなかった。

FPや簿記のように“生活に結びつくイメージ”がないから、 

理解するまでに時間がかかる。

角度の表記も独特で混乱する

  • 度(°)
  • 分(′)
  • 秒(″)

この3つが混ざって出てくるから、 

最初は「何をどう計算すればいいんだ…」ってなる。

例えば 

35°24′18″ 

みたいな角度を、 

小数点の角度に直したり、逆に戻したり。

これも慣れるまでが本当に大変。

測量士補は、筆算・三角関数・座標計算など、独特の難しさがある試験だった。 

60歳で挑戦した自分としては「これは無理かもしれない」と思う瞬間もあったけれど、振り返ってみると、いくつかのポイントが合格につながったと感じている。

とにかくコツコツ計算問題を解いたこと

測量士補は“計算の試験”と言ってもいいくらい、計算が中心。 

最初は小数点5桁の筆算に苦しんだけれど、 

毎日少しずつ計算問題を解いていくうちに、手が慣れてきた。

  • 桁をそろえる
  • 流れを間違えない
  • 途中で焦らない

こうした“地味な慣れ”が大きかった。

5択だから「大筋が合っていれば得点できる」ことを理解した

だから、 

完璧な計算ができなくても、方向性が合っていれば正解できる。

  • 多少の誤差があっても
  • 小数点がズレていても
  • 桁が合っていれば

選択肢で救われる。

この“5択の特性”を理解してから、 

完璧主義にならずに、落ち着いて計算できるようになった。

広く浅く、全体を押さえる勉強法にした

測量士補は専門用語が多く、深掘りし始めるとキリがない。 

そこで僕は、あえて

  • 広く浅く
  • 全体像をつかむ
  • 頻出分野を優先する

という勉強法に切り替えた。

深く理解しようとすると時間が足りないし、 

そもそも試験は“広く浅く”の知識で十分戦える。

◾️令和5年(2023年)の測量士補試験者数
受験者数 13,480名
合格者数 4,342名
合格率 32.2%
 
◾️年代別の合格者割合
30代 36.1%
40代 25.3%
20代 20.3%
10代 1.3%

 

なぜ30代・40代が多いのか(想定)

● 測量業界そのものが高齢化している

測量士の平均年齢は50歳前後。 

若手が少なく、30代・40代でも“若手扱い”される世界。

● 社会人のキャリアチェンジ組が多い

建設・土木・不動産など、近い業界からの転職で受験する人が多い。 

学歴不問・年齢不問で受けられるのも大きい。

● 専門学校・大学は免除制度がある

工業系の専門学校や大学では、 

国土地理院が認定したカリキュラムを修了すると測量士補が免除される。 

だから若い世代はそもそも受験しない。

● 社会人のほうが目的意識が強い

資格の価値を理解していて、勉強時間も計画的に確保できる。

こうした理由が重なって、 

合格者の中心は30代・40代になるのだろうか?

 

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